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お札 裸眼・ルーペ・マイクロスコープの見え方の違い

  • 執筆者の写真: 真登 西川
    真登 西川
  • 2025年12月29日
  • 読了時間: 7分

更新日:1 日前

2025年も残すところ あとわずかとなりました。

2025年の当院の診療は全て終了しました。



当院では、ご自身の歯を残す事を最優先で考えております。


なぜなら インプラント、入れ歯は所詮は人工物で、ご自身の歯より優れた性質の人工物はありません。



ここでいう性質というのは、自分の歯(天然歯)と比べて

かみやすい

違和感がない

話しやすい

取り外ししなくて良い

感染しにくい

不具合が起きにくい


といったことです。


今回は、いかに一本の歯を残すのが大変なのか、というケースをご紹介します。


こちらは左下の奥歯で、患者さんは『症状は全く無いが、最近歯ぐきが腫れるようになったのでみてほしい』とのことでした。





ご覧のように歯ぐきが腫れており、風をかけるだけで血が出てきます。


血が出るのは歯ぐきが炎症しているからなんですが、それは後ほど原因が分かります。


それとはまた別に、歯ぐきが腫れているのは、歯の根っこに膿がたまることで歯ぐきが腫れます。


この歯ぐきが腫れる病名は『根尖性歯周炎』という病気で、基本的には無症状のことが多いのですが、痛みが出る時は痛み止めを飲んでも効かない寝れないぐらいの痛みが出てくることがあります。


また放置することで癌化(扁平上皮癌)することがありますので、治療を行うのが原則です。


まずは歯に詰めてあるものを除去していきます。




歯に詰めてあるものはレジン という素材になりますが、当院では奥歯には基本的には使用しません。


その理由は↓




では実際にマイクロスコープを使用して除去していきます。






レジンの下は虫歯になっておりました。


これが当院では奥歯にレジンを詰めない理由です。

奥歯にレジンを詰めると非常に虫歯になりやすいです。


虫歯の部分を除去した後、歯の根っこの治療を行うため、ラバーダムという器具を歯に装着します。


ラバーダムをかけやすくするため、応急的にレジンで歯を補強します。

隔壁(カクヘキ)形成という手技になります。



1回目の治療でここまで行います。

治療時間は1時間30分ほどかかりました。

保険の治療では とてもここまですることはできないと思いますが、当院では1回の治療で基本的にここまで行います。


1回目の治療の2週間後に来院してもらい、歯ぐきの状態を確認しました。



これだけ歯ぐきの状態が変わりました。

人間の体は正直なので、バイキンがなくなれば体は自然と良くなります。


しかしこの歯はまだまだ問題がありまして、根管治療に使うファイル、リーマー、クレンザーと呼ばれる針金をねじったような器具があるのですが、それが歯の中で折れていました




これを除去するのは非常に難しいです。

今回は無事除去することができました。




この折れた器具が感染源だったとすると、折れた器具を除去しない限り、歯が治癒することはありません。



その後、歯の中をしっかりと乾燥させます。

水分が少しでも歯の中に残ると、細菌が増殖しやすくなるからです。

湿度が高いジメジメしているところにカビは生えます。それと同じ理論です。



水分が残っていると、土台の接着力も下がるので、しっかりと歯の中の乾燥を行うことが大切です。



歯の中に強度をあげる役割と感染のリスクを下げるため、ファイバーポストという土台を入れていきます。




これで根管治療と築造(歯の土台)までは完了しました。



ここから歯の形を整えてかぶせもの の型取りをしていきます。




しかし、この歯は まだまだ簡単には終わりません。


なぜなら 歯ぐきの上にないといけない歯の部分が 歯ぐきの下の隠れてしまっているからです。

これを説明するのは非常に難しいかもしれませんので、一度こちらの動画を見てください。





↑黄色の丸で囲んだ部分が歯ぐきの下に隠れているので、これをしっかり出して形を整えないと型取りがうまくいかず、出来上がったかぶせものの適合は悪く、歯ぐきはすぐに炎症を起こします。

よって、最初見ていただいた動画のように風をかけるだけですぐにが出ます。

かぶせものの適合が良くないと虫歯の原因にもなります。


この部分の仕上げが非常に難しいんです。


歯が一部歯ぐきの中に隠れている部分を マイクロスコープを使用しながら出していきます。

出血があるので苦手な方は見ないでください。



そこから マイクロスコープで見ながら歯の形をさらに整えていきます。




最初と比較するとこのように違います。




ここに関しては少し難しいかもしれません。

私も歯医者になりたての時は、全く理解できませんでした。


お伝えしたいことは、状態が悪い歯を持たそうとすると、こんなに手間暇がかかるということです。

ここを手抜きすると あとあと良くなりにくいです。


ここの処置をしっかりやろうと思うと、マイクロスコープを使用しないと不可能です。


このような状態の歯のかぶせものは、今まで88000円(税込)で行ってきましたが、2026年からは176000円(税込)で行っていきます。

それぐらい難易度が高い治療になります。



この歯は、その後型取りをした後、半年〜1年ほど歯ぐきの腫れが再発しないか経過を見ることを患者さんと相談して決めました。

そのため、一度 仮歯を作成して装着して半年ほど経過を見ていきます。


仮歯の精度もそこまで高くないことが多いので、マイクロスコープで拡大して見ながら修正を行います。



その後、仮歯を装着し、経過を見ておりますが、現在のところ特に問題はありません。





今後半年〜1年症状がなければ最終的なかぶせものを作成・装着していく予定です。

今後も注意深く経過観察していきます。



このような歯をしっかり治療しようとすると、こんなに大変なんです。

患者さんは意識したこともないと思いますし、見たこともないのではないでしょうか。


なぜなら 今回の内容は 歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士のような歯科関係者でも、治療の難易度がとても高いことが分かりにくい部分だと思います。



今回治療を行った歯はマイクロスコープがなければ助けることはできない と言いきれます。

折れた器具を除去することができないし、歯ぐきの下の虫歯を取り切って形を整えることは、裸眼やルーペでは不可能だからです。




患者さんはもちろんのこと、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士などの歯科関係者の方にも 裸眼・ルーペ(拡大鏡)・マイクロスコープ(手術用顕微鏡)の見え方がどれだけ違うのか、身の回りのものを使ってできるだけ分かりやすくお伝えしようと思います。


今回使用するのはお札(1000円札)になります。

裸眼がどのように見えるかの記録として、Ray-Ban Metaグラス を使用しました。


こちらのメガネは見えている景色が写真や動画で記録できます。





まずは裸眼での見え方から



これは皆さん同じような見え方だと思います。



ではルーペとマイクロスコープの見え方の違いをお見せします。




これほど見え方が違います。



そして折れた器具や虫歯を除去するような歯科治療において、マイクロスコープを使用せず治療を行うというのは 目をつぶって歩くのとそこまで変わらない と私は思います。



あなたが虫歯になった時

『虫歯をそこそこ取ってください』と言いますか?

全て取り切って欲しいと思いませんか?


ガンの治療をしてもらうとき

『ガンをそこそこ取ってください』と言いますか?

全て取り切って欲しいと思いませんか?


医療において そこそこやる という概念は 本来ないのです。

やるのであれば徹底的にやるしかないのです。



そして できるだけ最良の医療を患者さんに提供するため、今までも そしてこれからも 私は歯科の勉強を生涯続けていこうと思います。



なぜそこまでマイクロスコープを使用した治療を行い 歯科の勉強を続けるのか?


当院の患者さんにできるだけ良くなって 健康で長生きして欲しいから


以上です。





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