保険治療では良い治療が受けられない??? 根管治療とラバーダム
- 真登 西川
- 5月29日
- 読了時間: 8分
更新日:10月2日
今回はビジネス書から歯科治療を紹介させていただきます。
興味深い記事を見つけたため、紹介させていただきます。

↑こちらは「プレジデント」というビジネス誌で1963年から発行されている、歴史がある人気の雑誌です。
こちらに衝撃的な記事が紹介されていました。

いかがでしょうか?
こちらは歯科医師の先生が監修されている記事なので、歯の素人の方が書いた記事ではありません。
「日本の歯科治療は時代遅れである」
これは歯科界では常識です。
残念ながら、アジア圏でも日本の歯科治療はレベルが高くない、というのが世界的な認識です。
世界的には中国や韓国、シンガポールより日本の歯科はレベルは下という認識です。
日本の歯科は欧米に比べて20年遅れていると言われています。
「確かにそうだよな」と思う文章が多々ありました。
こちらの記事では歯科治療の1つである根管治療について記載されていました。
歯の中には神経が入っており、虫歯などで歯の中の神経が汚染・変性すると歯の神経を除去する治療を根管治療と言います。


この時、根管内に つばが入ると つばの中の細菌により根管内が汚染されてしまいます。
汚染されると最悪の場合、抜歯になることもあります。
よって、つばが根管内に入らないようにラバーダムというゴムのマスクのようなものを歯に装着します。

ラバーダムはアメリカのDr.Barnumが1864年に考案されました。
ラバーダムは歯科界の最大の革命と言われております。
(ちなみに医科界の最大の革命は麻酔と言われています)
こちらのラバーダムですが、欧米では用いて処置するのが常識なのですが、日本の歯科ではほとんど使用されておらず、日本での使用率は5%以下と言われています。
日本の歯内療法専門医でさえ25%程度の使用率と言われています。(歯内療法専門医とは根管治療が良いという認定を学会からもらった人です)
欧米ではラバーダムを使用して根管治療を行わないと裁判になって確実に歯科側が負けます。
そんなに大事なラバーダムなんですが、なぜ日本でそんなに使われていないのか?
日本の歯科医療は医療保険という世界でも稀な国民皆保険制度があります。
この保険医療により、保険証があれば北海道から沖縄まで70%〜100%割引きで医療を受けることができます。(生活保護の方は医療費負担ゼロです)
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
まず歯科治療において、保険治療でできる範囲というのはごく一部ということです。

自費治療を食材や手間を惜しまない料亭の食事とすると、保険治療は冷蔵庫の中で料理を作るようなものです。


また、保険医療制度は明確な基準がなく、一方的に金額が設定されています。
しかも、昨今の物価高騰にも関わらず、診療報酬の金額は 何年もほとんど変わっていません。
先ほどの根管治療は1回治療をしても300円〜600円程度しかもらえません。
なんと 保険診療において、ラバーダムは行っても0円という設定になっています。
根管治療は当院では保険診療を行なっていた開業当初から45分以上かけて行っております。
一般的な歯科医院では根管治療は1回あたり15分くらいで行うのが平均だと思います。
この金額でまともな歯科治療ができると思いますか?
私個人としては金額に関わらず、必要であれば行わないといけないとは思います。
当院は開業当初の保険治療の時からラバーダムは行っております。
しかし、医院経営は赤字で運営することができないのも事実です。
私は歯科助手として3医院、歯科医師として4医院 合計7軒の歯科医院で勤務してきましたが、ラバーダムを行っていたのはその中でたった1軒だけです。
他の歯科医院は一切ラバーダムをして根管治療はされていませんでした。
勤務医の時、「私がラバーダムを購入するからラバーダムをかけて根管治療をやらせて欲しい」と院長先生に直訴しても断る歯科医院もありました。(そんなこともあり自分で開業を決意したのですが)
ここで強調したいのは、私は医療保険制度は必要だと強く感じます。
歯が痛くて歯を抜きたくても、お金がなくて抜けない、ということがアメリカなどの医療保険制度がない国では普通にあります。
虫歯が原因で死亡するケースもあります。
歯を抜いたりすることは保険制度は良いのですが、歯を持たせる治療で保険治療で行うことは非常に困難だと感じます。
もっと日本の歯科保険の治療範囲が拡大すれば良いのですが、現在の日本の税収入などの台所事情と今後決して避けられない少子高齢化を考慮すると、日本はますます厳しい状況になっていくのではないかと思います。
先ほどのプレジデントの記事には、「よい歯科医」に出会うための4つのチェックポイントが記載されていました。

「安くて良い治療は存在しない」という衝撃的な文章が書かれていました。
名医の見分け方なんですが、患者さんに見極めることは不可能だと思います。
専門医・認定医はお金を出して学会に数回参加するだけでもらえるものもありますので、あまり当てになりません。
また技術力が高くて行った治療が長持ちするから認定医・指導医というわけでもありません。
認定医・指導医の要件に技術力は全く問われていないのです。
また口コミの過度な信用も非常に危険といえます。
なぜかというと、googleなどの口コミはスマホ1台あれば誰でも書くことができるからです。
そこの歯科医院に行ったこともないのに口コミが書けるということです。
悪い口コミを削除するという業者も多数ありますが、口コミを削除する業者がその悪い口コミを書いているだけということもよくあります。
これをマッチポンプと言います。(自分でマッチで火をつけて水をかけて消す自作自演行為)
google口コミでのトラブルは医科でも大問題になっており、訴訟になっています。
口コミを信用するのも ほどほどにした方が良いと思います。
ラバーダムの装着も確かに大切です。
しかし、ラバーダムを装着する際、ラバーダムクランプという爪のような器具でラバーダムを固定するのですが、このラバーダムクランプによって歯に過度な力がかかって歯にヒビが入ることがある、という論文もあるため、当院では歯にヒビが入りにくいラバーダムクランプを使用しております。
正しいことを患者さんに行うには、論文を調べたり、専門書の購読、セミナーへの参加を継続的に行うことが必須です。
なので、患者さんが名医を見分ける方法で一番カンタンなのは
その歯科医師が海外に行ってまで勉強をし続けているかどうか
だと思います。
やはり、何回考えてもこれが一番カンタンな見分け方だと思います。
1回アメリカに勉強しにいくのに150万円以上かかります。
当然ですが自分の身銭を切って勉強しに行きます。
アメリカで学んだことは7年ほど遅れて日本に入ってくると言われています。
なぜそんなにお金をかけて勉強をするのか?
目の前の患者さんにできるだけよくなって欲しいから
です。
それ以外の理由はありません。
あなたは7年遅れた治療をして欲しいですか?
私が患者の立場なら 嫌です。
当院では、自分がされたら嫌なことは患者さんにしたくないので、この仕事を続ける限り歯科の勉強を続けることを誓います。
歯科の勉強をせず、ゴルフに行って、いい車に乗って、高い時計・カバンを持って、飲みに行っている先生に診て欲しい方は、当院には来られない方が良いです。
当院長 西川は今年もアメリカで最先端の歯科治療を学ぶため、2025年6月12日~6月15日までアメリカ・マサチューセッツ州・ボストンで開かれる、3年に1度の補綴学・歯周病学・インプラントの学会である第15回PRD学会に参加するので、6月12日~6月17日は休診します。
患者様には大変ご迷惑をおかけしますが宜しくお願いいたします。

当院では非常に精密な診療を1人の患者さんに対して長時間行なっているため、手が離せず電話に出られないことがあります。
その際は留守番電話にお名前・電話番号・ご用件のメッセージを残していただくようお願い致します。
ご不便をおかけすることがありますが、どうぞ宜しくお願い致します。
もしご自身の歯のことで相談したい方がいらっしゃったら、当院では現在1ヶ月に10名までは無料相談させていただいております。
現在、治療の予約がかなり埋まっており、1ヶ月〜1ヶ月半先まで予約が埋まっております。
診療時間外の時間で相談させていただいております。
相談希望の方は当院までお電話か問い合わせメールをお願い致します。留守番電話になればお名前・電話番号・ご用件を入れていただければ、あとでこちらからご連絡させていただきます。
実際に診査診断を希望される場合は、別日に来ていただいてお口の中の資料どりさせていただきます。(現在税込6600円頂いております)
コメント