先生のところお金大丈夫なんですか?
- 真登 西川
- 7月17日
- 読了時間: 10分
更新日:7月20日
先日ある患者さんから 『先生のところお金大丈夫なんですか?うまくいってるんですか?』
という びっくり‼️な質問をいただきました。

いきなり失礼だな!と思い 腹立たしかったのですが、確かに患者さんにとっては気になるのも事実なんだろうな、と思い 今回の記事はいつもの様な治療の内容とは変えてお届けします。
質問された患者さんからすると、今後もちゃんと診てもらえるか心配ということで、悪気はなかったのかなと思います。(そう解釈するようにしました)
今回の質問で新たな気付きがありました。
恐らく他の患者さんも同じようなことを思われていたのかもしれないなと思い、今回アップします。
結論から申し上げると、当院は以前の保険治療を行っていたときと比べて、具体的な金額は控えますが、現在の自費専門の方が医院の収益は上がりました。
ですので、今のところ当院は 倒産の心配はありませんので、ご安心ください☺️
正直に申し上げて、4ヶ月くらい患者さんが1人も来なくても、医院の財政的には全く問題ありません。
本当はもう少しヒマな方が助かるのですが、歯で困っておられる方が多く、仕方なく毎日朝から晩まで休みなく診療を頑張っております。
質問された患者さんからすると、患者さんの数が減ったら医院の収益は落ちる、と考えてもなんら不思議ではありません。
当院が昨年2024年8月まで保険診療を行なっていた際は、1日平均50名ほどの患者さんを毎日診ておりました。
現在は自費診療のため、1日10名前後の患者さんを診ております。
治療内容次第では1日2名しか診れないときもあります。
患者さんには知る由もないと思うのですが、今回は歯科医院のお金の流れを解説します。
業界のタブーかもしれませんが、ラブしがでは一歩踏み込んだ内容をあげていきます。
日本の歯科医院は全国でおよそ7万軒あります。(2025年現在)
そのうち97%の歯科医院は保険診療を行う医療機関です。
自費専門の歯科医院は日本で3%程度(2000軒前後)と考えられます。
97%の歯科医院が行っている保険診療の流れを説明します。
患者さんは保険料を納付することで被保険証をもらう。
歯科医院が患者さんに歯科治療を行う。
患者さんから歯科医療保険で設定されている1〜3割の負担金を窓口でいただく。
行った診療を審査支払機関に報告すると、残りの7〜9割の診療費は2ヶ月後に審査支払機関からいただく。
(生活保護の患者さんの場合は窓口負担0割で、10割が審査支払機関から支払われます。)
おおまかに説明するとこのような流れになります。

できるだけ分かりやすく説明するため、多少省略してますが、おおまかに説明するとこのような流れになります。
日本の医療保険制度は、できるだけ安い金額で国民の健康を平等に守る制度として設立・運営されてきたと思うのですが、令和の現在では上手く立ち行かないケースも多々あるように感じます。
医科においても、診療報酬が低すぎて、小児科医などの保険点数が低い科目の医者のなり手が減少し、自費診療の割合が多い美容外科医に流れる傾向があります。
日本の医療保険制度は破綻しているという記事も多数見受けられます。
私は繰り返し書きますが、日本の歯科医療保険において、痛い歯を抜く治療においては優れている制度だと思います。
欧米ではお金がなくて、歯を抜くことさえできず困っている人がいることを考えると、日本はよっぽど恵まれていると思います。
しかし、歯を残す治療においては日本の医療保険治療では強く限界を感じます。
私は日本の歯科医療保険の問題点は5点あると思います。
1.どの歯科医師が行っても治療費は同じ
腕の良し悪しは一切問われない 新人がやってもベテランがやっても同じ金額
2.治療費の金額は一方的に設定されている
例えば根管治療の際、ラバーダムを行っても1円ももらえない
ラバーダムについてはこちら↓
3.昨今の物価高騰にも関わらず、設定された治療費はずっと据え置きのまま
4.保険診療で認められている治療の範囲が狭い
セラミックや矯正治療、インプラントは保険でできない(歯周再生療法、骨造成などなど他にも保険で認められていない必要な治療は多数あります)
5.県や地域によってルールが変わる
A県ではこの治療をやってもOKだが、B県では認められていない(請求しても審査支払機関から返礼というもので棄却される。要するに行った治療に対して1円も治療費がもらえない。)
ここで一般的な歯科医院で行う虫歯治療において、説明します。
まず、虫歯の大きさに関わらず保険で設定されている治療費は同じです。
1分で除去できる虫歯も1時間以上かかる虫歯も治療費は同じです。
(この時点で少しおかしいと思いませんか?わざわざ虫歯をしっかり取り切ろうとすると思いますか?)
通常、虫歯の除去は、当院の患者さんなら分かっていますが、とても時間がかかります。
手術用顕微鏡を使って虫歯を除去すると1時間以上かかります。
とても5分10分で取り切れるものではありません。
一般的な歯科医院では、赤字になると医院の運営ができないので、赤字にならない時間で虫歯の除去を終わらせます。
通常30分ほどの診療時間内で麻酔をして、虫歯を削って詰める・型取りをして、仮のフタをする歯科医院が多いと思います。実際の虫歯除去の時間は5分10分程度だと思います。
ここで質問です。
通常、虫歯の除去は1時間以上かかるのに、5分10分で取り切れると思いますか?
あなたは虫歯を取り残されても平気ですか?
話を戻します。
型取りをした場合、金属やプラスチックの詰め物・かぶせ物が出来上がってきます。
ここで、歯科技工士という詰め物・かぶせ物を作成してくれる業者さんが間に入ります。

ベテランの歯科技工士さんが作っても新人が作っても作成料は変わりません。ここにも大きな問題点があります。
なおかつ、一方的に設定された詰め物・かぶせ物の治療費で、材料費や人件費を引くと、1本の詰め物・かぶせ物を装着して、医院の手元に残る利益は数百円です。場合によっては数十円です。型取り失敗して再作成になった場合は完全に赤字になります。
この利益の中から家賃や光熱費、将来のための機械の購入費積み立てなどを行っていきます。
そのため、歯科技工士さんに支払う作成料を値切る歯科医院も少なくありません。
ここで質問です。
数百円、数十円の利益で毎月の医院の家賃や光熱費、税金、開業時の借金、スタッフのボーナスなどを支払えると思いますか?
ましてや将来の機械設備の積み立てや参加費が数十万円する研修会に参加できると思いますか?
作成料を値切られた歯科技工士さんが完璧な詰め物・かぶせ物を作ってくれると思いますか?

ですので日本の保険診療費では、治療費が安すぎて、良い治療をしたいが採算が取れないからすることができない、というのが現実だと思います。
こういう流れで保険治療では負のサイクルが起こって、元々長持ちしにくい保険の治療が、ますます精度の低いものになって、患者さんの歯がより悪くなるというわけです。
さらに衝撃的なことをお伝えします。
最終的に一番しわよせがくるのは、保険治療を選択した患者さん ということです。
冷静に考えてみれば必然だと思います。
この医療保険の流れが分かれば、小学生でも保険治療は良くないものだろうな、ということは理解できると思います。
保険治療は、薄利多売の安かろう悪かろうという治療になりがちです。
理由は前述した通りです。
追記になりますが、虫歯治療だけでなく、歯周病治療も定期検診も同じ論理です。
歯を良くするために使える器具や薬剤は保険で認められていないため、保険治療で歯を良くすることは非常に困難です。
その理由をもう一度書きます。
1.どの歯科医師が治療を行っても一律同じ金額
このルールで日本の歯科医師が治療技術を向上しようと努力すると思いますか?
2.治療費の金額は一方的に設定されている
治療の難易度は考慮されていません。親知らずの抜歯を断る歯科医院が多いのは治療の難易度と医療費が全く割に合わないからです。
3.昨今の物価高騰にも関わらず、設定された治療費は据え置きのまま
値上がりした分は歯科医院側が持つということです。自分の給料を減らしてまで患者さんを良くしようという歯科医師は日本全国に何人いるのでしょうか??
4.保険診療で認められている治療の範囲が狭い
日本の歯科医療保険は完全に不採算部門で、今後ますます日本の少子化などを考慮すると、更なる保険ルールの改悪が予想されます。
5.県や地域によってルールが変わる
個人的には一番謎で納得できないところです。
私の主義は『やるならちゃんとやろうよ』です。
患者さんは、『国がなんとかしないとね〜』と仰られますが、日本の歯科医療保険制度が改善する可能性は、限りなくゼロに近いと思います。
改善する可能性が低い物に期待していても仕方がありません。
現在と未来に対して全力で行動するのみです。
私は患者さんの歯をできるだけ長持ちさせて、健康で長生きしてもらいたい。
ただそれだけです。
当院の虫歯治療は保険が効かない自費治療になりますが、一切妥協せず、虫歯を取り切ります。
治療中の様子は全て動画で記録し、後で患者さんに見ていただきます。
日本の保険医療が良くなるには、国民が支払う保険料を大幅に値上げして保険点数や内容を全て刷新する必要があると思います。
そして医療者側がズルできない様に、行った治療を動画で全て記録して提出するようなシステムにすることが必要だと思います。
また欧米のように歯科医師国家資格を数年おきに免許更新制にして、勉強していない医療従事者の免許は剥奪するべきです。
車の運転免許ですら数年おきに更新制なのに、国家資格である医師免許の更新制がない日本はどう考えてもおかしいと思います。

どのような治療を選ぶかは患者さんが決めることです。
当院では一切強制はしません。
当院では「行った治療は一生持つ」というような無責任なことは言いません。
ただし全ての患者さんに対して、一切手抜きせず、全身全霊で治療を行うことは約束します。
当院では非常に精密な診療を1人の患者さんに対して長時間行なっているため、手が離せず電話に出られないことがあります。
その際は留守番電話にお名前・電話番号・ご用件のメッセージを残していただくようお願い致します。
ご不便をおかけすることがありますが、どうぞ宜しくお願い致します。
もしご自身の歯のことで相談したい方がいらっしゃったら、当院では現在1ヶ月に10名までは無料相談させていただいております。
現在、治療の予約がかなり埋まっており、1ヶ月先ごろまで予約が埋まっております。
診療時間外の時間で相談させていただいております。
相談希望の方は当院までお電話か問い合わせメールをお願い致します。留守番電話になればお名前・電話番号・ご用件を入れていただければ、あとでこちらからご連絡させていただきます。
実際に診査診断を希望される場合は、別日に来ていただいてお口の中の資料どりさせていただきます。(現在税込6600円頂いております)
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