前回に引き続き、今回も歯並びの紹介をさせていただきます。
歯が割れやすい歯並びってあるの?
ほとんどの方はそのように思われるかもしれません。
実際に 歯が割れやすい歯並び があります。
それは過蓋咬合(ディープバイト)という かみ合わせです。
詳しい内容は当ブログでも紹介しておりますので、よろしければご覧ください。
この歯並びの方は
人類の40%の人に存在することが分かっています。
甲賀市には約94000人の方が生活されており、およそ37600人存在すると考えられます。
このかみ合わせの方は、どれだけ頑張って歯みがきをしても、毎月定期検診に行っても、残念ながら歯が長持ちしにくいです。
なぜか?
まずはこちらをご覧ください。
こちらも過蓋咬合の患者さんです。
(①患者さんとさせていただきます)
咬んできた時に、上下の奥歯のスキマがほとんどないのが分かりましたでしょうか?
下の奥歯が上の歯ぐきまで咬み込んできています。
分からなかった方はもう一度見てください。
この過蓋咬合の方は、奥歯で咬む力が他の方より著しく強いので、結果として奥歯にヒビが入ったり、歯がかけたり割れたりすることが非常に多いです。
そのような奥歯に治療を行っても、すぐにかけたり、取れたりすることが非常に多いです。
なぜならスキマがないからです。
スキマがあれば、詰め物やかぶせものの厚みを厚くする事ができるのですが、スキマがないため詰め物やかぶせ物の厚みを薄くして治療することしかできないからです。
そんな詰め物やかぶせ物はその日のうちに取れることも珍しくありません。
そんな治療は、治療ではないと当院では考えます。
また、過蓋咬合の方の奥歯を抜歯した場合、奥歯のスキマがないため、被せ物を作ったり、入れ歯にしたり、インプラントにすることすらできません。
つまり矯正治療でかみ合わせを変えない限り、治療ができないのです。
過蓋咬合の方が矯正を行わないで長持ちしやすい治療を行えるのは・・・
いつだと思いますか?
全て抜歯して総入れ歯になる時です。
この患者さんは下の奥歯に激痛が出てきて、痛み止めを飲んでも痛みが引かない状況になってしまいました。
こうなると非常に危険な状態で、放置することで死亡することもあります。
レントゲン写真を撮影したところ、
この矢印の歯なんですが、手前の根っこが完全に割れています。
残念ながら治療方法は抜歯 になります。
歯の根っこの先に膿が溜まっていました。
これでは痛み止めも効かないはずです。
この患者さんは、他の奥歯も割れています。
上下の奥歯にスキマがないため、何か詰めたりかぶせたりする ことすらできないのです。
こちらの患者さんには、何度も歯を守るためには矯正治療は避けられないことをお伝えしましたが、矯正治療は選択されませんでした。
私の家族や周囲に同じような方がいたら「総入れ歯になりたくなかったら、借金してでも矯正しないと歯がなくなるよ」と伝えます。
歯が無くなってくると、矯正治療もする事ができず、総入れ歯になるのをただ待つことしかできないので、ご注意ください。
続いて別の患者さんです。
(②患者さんとさせていただきます)
こちらも過蓋咬合の患者さんです。
矢印の歯はかぶせ物(いわゆる差し歯)が装着されているのですが、「突然差し歯が外れたのでみてほしい」と連絡をいただきました。
差し歯が外れたところの写真ですが
どのような状態かマイクロスコープを使って調べてみると
歯が割れています。
残念ながら 抜歯治療 になります。
このように不良な歯並び・咬み合わせによる抜歯は突然やってきます。
過蓋咬合は、奥歯にも前歯にも過大な負担がかかる咬み合わせになります。
そのようなかみ合わせの方が全体の40%、甲賀市だけで37600人存在するということです。
このような方を見るたび、もっと早く矯正治療ができたらなあ と歯がゆい思いを毎回しております。
この方は上の前歯の抜歯後、入れ歯治療を希望されましたが、入れ歯を作るスペースがないため、下の前歯は虫歯ではありませんが、入れ歯に必要なスペースを確保するため、下の前歯を削っております。
このように過蓋咬合の方は抜歯後の治療が非常にやりにくいのが特徴です。
どの治療をやっても、何か制限されてしまうのです。
セラミックやジルコニアを入れても割れやすいですし、インプラントもダメになりやすく、入れ歯も割れやすいです。
過蓋咬合は 将棋で言う「詰み」の状態なんです。
最後の患者さんを紹介します。
(③患者さんとさせていただきます)
↓矢印の歯が痛い、冷たいもの・温かいものしみるということで、レントゲン撮影を行いましたが、レントゲン写真では全く問題はみられませんでした。
マイクロスコープを使用して状態を観察していきます。
分かりますでしょうか?
歯が割れています。
もっとよく診査・診断してみると
歯がかなり揺れています。
明らかに何かおかしい状態です。
ヒビがどこまで入っているか調べるためには、ヒビを削っていかないと分かりません。
患者さんにそのことを説明したところ、同意を得られたのでヒビの部分を最小限削っていきます。
実際は歯ぐきの下までヒビが入っている状態でした。
こうなると歯の
神経を取る治療をしても、治りにくい事があります。
なぜなら、歯の根っこの部分にヒビがあると、そこから細菌が侵入して痛みや腫れなどの症状が改善されないからです。
↑この患者さんは別の患者さんですが、歯の神経治療を何度も行いましたが、症状が改善されず、抜歯を希望されたため抜歯を行ったところ、歯の根っこが割れていました。
このようなことは実際の臨床でよくあります。
③の患者さんに戻ります。
こちらの患者さんのかみ合わせ・歯並びですが
こちらになります。
過蓋咬合になります。
いかがでしょうか?
歯が割れやすい法則性 なんとなく分かっていただけたでしょうか?
こちらの過蓋咬合は統計上 歯が割れやすいことが分かっております。
過蓋咬合の方で、歯を長持ちさせるには、矯正治療が第一選択となります。
また自分や家族が過蓋咬合かどうかは分かりにくいかと思いますので、気になる方は当院で診査診断する事ができます。
ご希望の方は当院までご連絡ください。
当ブログでも何回もお伝えしておりますが、歯を長持ちさせる最大の予防は矯正治療です。
もちろん、歯が割れやすい咬み合わせは他にもありますが、日常臨床で良くあるのはこちらの過蓋咬合です。
今後もかみ合わせや歯並びを細かくこちらのブログで紹介させていただきます。
当院では非常に精密な診療を1人の患者さんに対して長時間行なっているため、手が離せず電話に出られないことがあります。
その際は留守番電話にお名前・電話番号・ご用件のメッセージを残していただくようお願い致します。
ご不便をおかけすることがありますが、どうぞ宜しくお願い致します。
もしご自身の歯のことで相談したい方がいらっしゃったら、当院では現在1ヶ月に10名までは無料相談させていただいております。
現在診療時間内の予約が数ヶ月先まで埋まっておりますので、診療時間外の時間で相談させていただいております。
相談希望の方は当院までお電話か問い合わせメールをお願い致します。留守番電話になればお名前・電話番号・ご用件を入れていただければ、あとでこちらからご連絡させていただきます。
実際に診査診断を希望される場合は、別日に来ていただいてお口の中の資料どりさせていただきます。(現在税込6600円頂いております)
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